飼育下のチンパンジーがドローンを撃墜
飛行物体に対する道具使用の例を報告
チンパンジーの飛行物体に対する道具使用の例を報告する論文が、日本モンキーセンターの学術雑誌プリマーテス(Primates:シュプリンガー発行)に掲載されました。
オランダのRoyal Burgers動物園に住むチンパンジーTushiは、彼女のグループを撮影しようとしたドローンを枝で叩き落とし、ドローンはあえなく墜落。飛行物体に対する武器としての、珍しい道具使用の例として、またチンパンジーの好奇心を示す行動として、たいへん興味深い報告です。その記録映像はYouTubeでも公開され、国外のメディアで話題になりました。
この事件は、2015年4月10日、動物園に暮らすチンパンジーの様子を様々な角度から撮影しようと、テレビクルーがドローンを使用したときに起きたものです。
ドローンの試験飛行中から、チンパンジーたちは見慣れないドローンに反応し、枝を手に持ったり、木組みの足場に登ったり、普段はあまり見られない行動を示しました。
いよいよ撮影本番、チンパンジーのTushiは、約180cmの柳の枝を手に持ち、木組みの上に座っていました。カメラを装着したドローンがそこにズームインしたその時、Tushiは手に持つ枝をドローンに向けて二振り。二打めで見事、ドローンを撃墜しました。その後しばらくの間、チンパンジーたちが、地面に落下した正体不明の物体を、興味を持って覗き込み、つつきまわす様子も観察されています。
この行動に際して、Tushiの表情には緊張がみてとれたものの、恐怖の表情ではなかったことから、この行動は、恐怖に対する反応というよりも、おそらくは好奇心から意図的にドローンを打ち落としたものと考えられます。
拾った枝を持って、ドローンを攻撃できそうな場所に移動、その枝を「武器」として使うという今回のエピソードは、チンパンジーには、道具使用を事前に計画する能力が備わっていることを示唆しています。
この報告は、オープンアクセス論文としてプリマーテスに掲載され、誰でも本文にアクセスができます。
論文はこちら
Van Hooff JARAM, Lukkenaar B (2015) Captive chimpanzee takes down a drone: tool use toward a flying object, Primates
日本モンキーセンター
学術雑誌プリマーテス(Primates)
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